漫画でみる大切な妊娠・出産の知識Q&A Mom support






【Vol.6】【Q】陣痛はいつ来るの? スムーズなお産(安産)と、陣痛発来のタイミングの関係☆彡横浜戸塚から発信
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横浜・戸塚の産婦人科・小川クリニックから
妊婦さんへ 知識のプレゼント
~当院の60年に渡り培われた妊娠・出産の経験を元に、 スムーズなお産(安産)はどうすればできるかを
わかりやすくお伝えします。 すぐにでもタメになる内容が盛り沢山です!~
【A】お産をするにあたり自分の子宮の構造を知っておくのが大切です。子宮は体部と頸部に分けられます。 子宮体部は赤ちゃんが入るところで赤ちゃんの成長に伴って大きくならなければならないので、筋肉で出来ており伸縮性があります。 一方、子宮頸部は、伸びてしまっては赤ちゃんが出てきてしまうので、伸びないように繊維でできており簡単には開かないようにできています。そう、皆さんの大好きなコラーゲン繊維です。すなわち、子宮頚管は、妊娠中には赤ちゃんを子宮に留めておく関所のような役割をしています。
しかし、赤ちゃんは、外の世界で生きられるようになるまでを子宮内で成長するのですから(これが哺乳類です) 外の世界で十分生きられる状態になったら産まれてこれないと困ります。 また、お母さんも、子宮内で大きく成長させられるのは、胎児が外の世界で生きていけるようになるまでです。(小学生まで大きくすることはできませんから困ります) このように胎児が十分に成熟した時点で、「外に出なくては困る」「外に出てもらわなくては困る」という両者の共益性が一致 して、母子相互作用により化学物質が出てきて子宮頚管のお産に向かって準備を促進していくのです。
そして、子宮頸管は出産に向かって形を変え、柔らかくなっていき開きやすくなり赤ちゃんの通る出口に変化していきます。お産が近づいてきたら子宮頸管がどれくらい軟化し、形を変え、開大しているかを診ることで、赤ちゃんが出てくる準備がどれくらい進んでいるのか、進み方は順調なのか、またお産がいつ頃始まりそうなのかわかってきます。この準備状態を頸管の熟化といいます。いわば、桃やメロンの食べごろの熟し方を見るようなものだと思ってください。
下図のように、子宮頚管が形を変え、柔らかくなるにつれて、少しずつ胎児の頭が下降します。
産道や子宮頚管が、赤ちゃんにとって無理なく通れる状態、つまり、関所が開門して通り道に変身した状態になって陣痛が来ると自然が用意したベストのタイミングです。これが陣痛が発来してくる自然の流れなのです。
しかし、妊娠36~37週未満でこの変化が出現するようなことがあったら早産に要注意です。
上記の様に、自然な分娩の流れは、早産しないように関所の役目をしていた子宮の出口や産道が赤ちゃんが通れるように関所が開門して通り道に変化してから陣痛がついてくるものなのです。 その自然の流れに逆らって陣痛が発来した場合は、スムーズにお産が進行しない可能性を考えなくてはなりません。また、自然の流れに逆らって分娩の誘発を行った場合は処置の内容が多くなり、分娩所要時間も長くなり、人工難産を作ることになる可能性が高くなります。
当院では、子宮頚管や産道の準備が十分調うのをじっくり待って自然にお産が始まるのを正産期の期間は自然に逆らわず待期していくことを原則としています。 誘発(計画分娩)を行う場合は無痛でも、無痛を行わない場合も病院の都合や、患者様の一方的な申し入れで誘発の日を決めるのではなく、赤ちゃんのためにも個人差を十分考慮して、産道の状態を観察して分娩へのトライアルをしております。日を先に決めるのでなく個々の産道の状態を考えてトライアルを行うのはお母さんもクリニックも手間が掛かりますが、できるだけ自然陣発に近い形で行うのでほとんどの方が24時間以内に分娩終了に至っております。
しかし、自然だからといって、子宮頚管が未熟化の段階で自然に破水してしまった場合は、自然経過をみているだけではスムーズにお産が進行しないこともあります。何でも自然が良いわけではありません。
子宮頸管の熟化は、自然に変化していき、個人差があります。じっくりと焦らずに、良い待ち方をするのが大切です。皆さんの個性に合せたお産の詳しい説明は、健診の時にお話しいたしましょう。
子宮頚管の超音波写真です。 お産に向けての準備が進んでいる子宮頸管は右でしょうか、左でしょうか。
※内容は、これまで発表した学術論文や妊婦さん向けの雑誌などに執筆した元原稿からまとめました。